日本文理が2年ぶりの決勝進出を決めた。昨夏の4回戦で敗れた新潟に9-0の7回コールドで雪辱した。

1回裏1死一、二塁から4番中田龍希一塁手(2年)が左翼に先制3ラン。これを含む5打点で猛攻の中心になった。決勝は日本文理が2年ぶり10度目、東京学館新潟は初優勝をかけて戦う。

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思いが込み上げてきた。「素直にうれしかった」。日本文理・中田は右手でガッツポーズをしながら、ダイヤモンドを回った。新潟・笹川拓馬投手(3年)の真ん中低めのスライダーを左翼席に運ぶ。自身公式戦3本目、通算13本目の本塁打はチームにとって今大会初の柵越え。猛攻の口火を切った。

球場入りするバスの中で行う恒例のミーティングでは「自分のバットで先制点を奪う」と決意表明。有言実行でチームを乗せた。予感もあった。「朝起きて体調が良かった」。22日、夕食はどんぶりで2杯のご飯を食べてエネルギー補給。力は有り余っていた。本塁打のほかにも、5-0の4回裏2死一、三塁からは中堅フェンスを直撃する走者一掃の二塁打。チームの9得点中、5点をたたき出す。

前夜は気合が入る出来事もあった。富山・氷見北部中の先輩で、昨年の左腕エース新谷晴(上武大1年)からLINE(ライン)にメッセージが入った。「借りを返してくれ」。昨年、日本文理は新谷、ヤクルト入りした鈴木裕太投手(18)を擁し、本命視されていた。だが、4回戦で新潟に3-5で敗れた。中田はスタンドから先輩たちの無念の様子を見ていた。「もう1度気持ちを高めた」。気力、体力とも充実していた。

鈴木崇監督(38)は「私がいちばん緊張していた。選手は自分たちで何をやるべきかを確認していた」とナインの頼もしさを感じた。「昨年の敗退を思い出して、絶対に勝たなければならないとみんなで話した」。長坂陽主将(3年)は試合前、チームの結束を固めた。それが形になった。隙のない試合ぶりで昨年のリベンジ。そして10度目の甲子園に王手をかけた。【斎藤慎一郎】

▽日本文理・鈴木崇監督「昨年の思いもあったが、それよりも準決勝を戦うことそのものに集中した。今日は今日。決勝は、またコンディションを整えて臨むだけ」