花巻農は雨ニモマケズ、3人の継投でしのぎ、花巻北を3-2で下して県大会出場を決めた。稗貫(ひえぬき)農学校時代に、童話作家の宮沢賢治が1921年(大10)12月から26年春まで教壇に立った歴史ある伝統校にとって、3年ぶりの夏初戦突破でもあった。

曇天でときおり小雨が降る中でプレーボール。先発した菊池遥歩(あゆむ)主将(3年)が、序盤のピンチを最少失点で切り抜けた。1点リードの3回1死満塁、4番に同点の押し出し四球を与えたが、5番の4球目を低めに投げてスクイズ失敗を誘い、最後は中飛で切り抜けた。菊池は4回で降板したが、代わった2投手も5回1失点と好投して逃げ切った。佐々木貴大監督(31)は「継投は試合前から決めていた。選手たちが力を発揮してくれた」と喜んだ。

菊池は主将として兄の思いも引き継いだ。18年の同校主将は兄凜玖さん。1年時に初戦敗退した姿を間近で見ており、「自分たちの代で初戦は勝ちたいと思って練習してきたので、うれしい」と笑顔。佐々木監督は「学校や保護者からすごく期待されていて、なんとか恩返しと思っていた。彼らの目標はもっと上にあるので、そこまで行けるよう頑張りたい」と、高みへの歩みを続ける。【相沢孔志】