ロッテ佐々木朗希投手の中学後輩が、先輩の母校で昨夏準優勝の大船渡を倒した! 全国高校野球選手権中止による岩手県独自の代替大会は5日、沿岸南地区代表決定戦などが行われ、大船渡一中出身の大船渡東・今川大輝内野手(3年)が先制2ランを含む3安打4打点の活躍。7回コールドで佐々木朗の出身高校・大船渡を下した。

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大船渡東の今川が184センチの細身の体でフルスイングした。1回1死二塁、1ボールからの2球目。佐々木朗から背番号1を引き継いだ相手エース左腕・前川真斗投手(3年)のチェンジアップを左翼席へ運んだ。「高校通算でも公式戦通算も2本目です。ダイヤモンド1周、楽しかったです」と一塁を回って右拳を突き上げた。昨秋の地区予選でも大船渡と対戦し2-5と敗れたが、前川から高校1号を放っていた。「大船渡キラー」の原点は、中学時代の朗希先輩の教えだった。

投手としての練習中に寄り添った。「どんなにきつい投手メニューでも、真面目に楽しくやることに尊敬しました」。伝授されたけん制球は今も得意技の1つ。高校は違ったが、野球への取り組み方をまねし、投手としても打者としても背中を追い、大船渡撃破を目標に成長してきた。

入学後は3戦全敗。同校としても10年春以降7連敗中の屈辱を晴らした。5回に中越え2点適時三塁打、6回にも右安打。7回は無死満塁でサイクル安打を狙ったが、相手の暴投を誘発し、コールドを決めた。

次戦は花巻東が相手。昨夏と秋に大敗を喫した大船渡の思いも背負って戦う。17年春に東北大会出場を決めた県3位決定戦では6-4で勝利したこともある。「自分はチャンスに強い打撃をしたい。勝って朗希さんも驚かせたい」。昨夏決勝で敗れた先輩の雪辱も果たす。【鎌田直秀】