<高校野球岩手大会:花巻東13-0大船渡東>◇14日◇1回戦◇しんきん森山スタジアム

今秋ドラフト候補の花巻東(岩手)水谷公省外野手(3年)が14日、右翼席場外に特大3ランを放ち“夏3連覇”へ勢いを付けた。

大船渡東との岩手県独自大会1回戦で、2回2死二、三塁から高校通算34号。勝利に導く4番として、憧れのレイズ筒香嘉智外野手(28)や同校先輩エンゼルス大谷翔平投手(26)の背中を追う。

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水谷がマスク着用で声援自粛の保護者や控え部員らを、思わず「お~」と、どよめかせた。甘く入った直球を逃さず強振。打球は小雨を切り裂き、右翼芝生席をはるかに越えて林の中へ。約130メートルの特大弾。急ぎ足でホームを駆け抜けると、ざわめきは大きな拍手に変わった。「感触は完璧。去年から主力で出させていただいているので、夏2連覇している先輩方の思いも背負って、勝利に貢献できる4番でありたい」。花巻地区予選を含む、今季“公式戦”2戦目での1発で存在感を際立たせた。

試合中の修正力も抜群だ。1打席目は好機で一邪飛。「内角を力んで詰まってしまった」と反省し、本塁打直前には右翼ポール際に特大ファウルで好感触。「タイミングが早くてポイントが前になってしまったので少し遅らせた」と、さらに適応した。第3打席には外角球に逆らわず、左中間に二塁打。長打だけでなく広角に打つ状況判断も兼ね備えている。

昨秋の東北大会直前に右足首を骨折。影響がないため今もボルトが入ったままだ。足を引きずりながらグラウンド整備や練習補助に専念する一方、筋力強化にも尽力。重量挙げ元日本代表の冨田史子トレーナーの指導も受け、体重も一時は昨年から約10キロ増の93キロに。佐々木洋監督(44)も「パワーがついてきた。頼れる中心選手」と絶賛する。

父は横浜隼人(神奈川)水谷哲也監督(55)。甲子園で父子対決する目標はかなわないが「岩手県3連覇だけは絶対に成し遂げたい」。心も体も強くなった主砲の姿を披露する最後の夏。ド派手な号砲だった。【鎌田直秀】