夏の青森で28年ぶりに実現した「津軽の早慶戦」は、青森が弘前に6-4の再逆転劇で競り勝ち、16強入りを決めた。

3年生のダブルエースが投打に分かれて活躍。背番号1の左腕・成田豊が7回1死満塁から緊急登板し、無失点でピンチを断つ好リリーフ。最速143キロ右腕・畳指(たたみさし)善宣外野手は同点打を含む3安打を放ち、勝利を呼び込んだ。過去4度の夏甲子園出場を誇る伝統校が、60年ぶりの覇権奪回へと気勢を上げた。

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流れを断ち切る投球だった。青森は逆転を許した7回1死満塁から、3番手で成田豊が救援。「ほぼ肩できてなかったです(笑い)。監督に『行け!』の一言で、自分が抑えるしかないと思ってマウンドに上がりました」。キレのある直球で中飛に打ち取り、二塁走者も帰塁できず併殺でピンチを脱出。9回1死からは、連続三振で伝統の一戦を締めた。マウンド上では雄たけびを上げ「気持ちで向かっていきました。逆転につながる投球ができた」と納得の表情だった。

エースの奮闘に、「1番左翼」に入った143キロ右腕・畳指がバットで応えた。3-4の7回2死二塁から、外角低めの直球を逆らわず左中間へ同点の適時三塁打を運んだ。続く伊東蓮外野手(3年)の左前適時打で決勝の生還。「エースの頑張ってきた姿を見てきたので、好機で1本打てて良かった」と、ともにブルペンで切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間の力投に報いた。

県内屈指の進学校が28年ぶりに顔を合わせた。旧制三中の流れをくむ創部118年の「青高(せいこう)」と、旧制一中から同119年の歴史を誇る「弘高(ひろこう)」は毎年定期戦を行うなど、良きライバル関係にある。今年の前哨戦でも青森が9-2で勝利。成田康生部長(46)は「28年前の夏、弘前のユニホームを着て、青森に0-1で負けました。当時の仲間のこととかを思い出しましたね」と母校との対戦に感慨深げだった。「特別な夏」に実現した名門対決を制し、古豪復活への機運は高まった。【佐藤究】