弘前実(青森)はOBの西武外崎が1年時に出場した08年夏以来、12年ぶりに8強を決めた。初回、2回と2点ずつ奪い、アップルパンチならぬ先制パンチで流れをつかむと、ここ2戦で計8失点と絶不調の長内晴投手(3年)が1失点完投。さらに第2打席では2点二塁打を放った。

長内は内外野をこなす外崎のように投手、外野の2役を担う中心選手だ。しかし、今大会はマウンドで苦しみ、バットも第1打席まで10打数無安打と沈黙。それでも2回2死一、三塁、パンチ力を見せつけ右越えの初安打が飛び出した。「1本出て気持ちが乗ってきた。加点できてピッチングにも余裕が出た」。ようやく長いトンネルを抜けた。

回転数の多い直球もキレを取り戻し、相手打線を封じた。「ピンチでギアチェンジを意識し、実際にギアを上げることができた。その他は打たせて取ることができた」。3試合目にして納得の投球に結びついた。

準々決勝は昨夏準優勝の弘前学院聖愛と対戦。長内の代は1年生大会決勝で同校に大敗した因縁がある。それ以来の激突に「強くなった実業を見せて借りを返す」。偉大な先輩が出場した12年前は8強止まり。アップ(ル)セット(番狂わせ)の先には「外崎超え」が待っている。【山田愛斗】