弘前実(青森)が20年ぶりの夏4強で「外崎超え」だ!

2年連続準Vの弘前学院聖愛に11安打8得点で打ち勝った。「1番中堅」の比内こころ外野手(2年)が3ランを含む4打数4安打5打点と大暴れ。守備でも3点リードの9回裏、足がつりながらも大飛球を好捕した。OBの西武外崎が1年時の12年前に到達した8強に並んでいたが、00年以来の4強進出へとジャンプアップ。公立勢最後のとりでとして、26日準決勝は昨秋県王者の青森山田に挑む。

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今大会打率6割4分7厘を誇る絶好調男のバットが止まらない。5-2の6回2死一、二塁。比内はカウント2-2からファウルで3球粘って、8球目の内角直球を強振。大先輩のお株を奪う「アップルパンチ」で右翼芝生席中段まで3ランを運び、6点差に広げた。技ありの1発に「粘ってから最高の結果を出せた。外角狙いでしたけど、体を回転させて打ちました」。

「アップルジャブ」もすごかった。初回は左中間、2回は左翼手のグラブをはじく適時打は、ともに二塁打。最終回は左前打と、本塁打以外はすべて流して4安打の固め打ちだ。4回の中犠飛を含め1人で5打点を荒稼ぎし、ここまでの4試合で17打数11安打。うち3試合で3安打以上の「猛打賞」をマークする。

名は体を表す? 心優しい2年生は、体を張ったプレーでも3年生を助けた。9回裏無死、先頭打者が放った左中間への大飛球を、足の異変を感じながらグラブに収めた。捕球後は起き上がれず、担架で運ばれ試合も約10分間中断。「ダッシュで追いかけている時につりました。痛かったけど、絶対に取る気持ちでした。3年生と一番長い夏にしたいので、交代は考えていませんでした」と治療後にベンチから勢いよく飛び出し、スタンドからも拍手で送り出された。

「打倒私学」がチームの合言葉でもあり、雪辱に燃えていた。現2、3年生は1年生大会で弘前学院聖愛に敗れた。比内の代は0-10で大敗。「2度も同じ相手に負けられなかった。公立校は『実業』だってところを見せたい」と闘志は高まる。因縁の「弘前ダービー」を制し、96年以来24年ぶりの覇権奪回も視野に入った。頼れる下級生が「こころ」のこもったプレーで突き進む。【佐藤究】

▽西武外崎「20年ぶりですか!? おめでとうございます! 練習後に少し中継を見て応援していました。決勝進出目指して頑張ってください!」