2度試合が中断する雨の中、千早(東東京)のエース高橋絢投手(3年)が目いっぱい投じた速球は簡単にはじき返された。それでも逃げない。1回、8安打で11点を失った。「今までの自分は四球を出して自滅していた。今日は(勝負して)打たれた。よかったと思います」。悪びれず0-25の大敗を語った。

エースとして最初で最後の公式戦だった。昨秋都大会は主将の藤野大地が足をケガし出場辞退。春はコロナ禍で大会が消えた。3年生は高橋と藤野の2人だけ。1年生5人が加わり、メンバー15人の出陣だった。「最後までやれてよかった。みんなに感謝したい」。

チーム初安打は1回、4番でもある高橋が放った右前打だ。この1本を加えて援護は2本だけ。それでも1人で最後まで投げた。打者42、被安打18で失点25の自責点19。「(野球は)高校で終わるつもりだったけど、悔しいので、もっと大学でやりたい」。高校最後のマウンドで、高橋の気持ちが変わった。