古豪復活を目指す関大北陽の初戦は6点リードの3回終了時、降雨ノーゲームとなった。不運な水入りとなったが、左腕・樽見海星(3年)が3回を無安打、4奪三振で無失点の好投を見せた。

3回裏1死から四球を許したのが唯一の走者。直球、変化球を低めに集めた。「最初は緊張したけど、バックが点を取ってくれたんで」。雨の影響を感じさせなかった。

昨秋の近畿大会大阪府予選は4回戦敗退。計3試合で24失点した。投手力の整備が課題で、昨夏からエースだった右腕坂本雅治が恥骨結合炎で苦しむ中、樽見が今夏初めて背番号1を任された。「秋の初芝立命館戦(4回戦)で、浮いた球を2ランされて…。あれから1球1球、意味を考えながら投げてます」。コロナ自粛期間中は大阪・箕面市の自宅近くを走った。観光でも有名な山間部を約10キロ。たまに鹿、イノシシに遭遇しながら、足腰を鍛えた。

夏6回、春8回の甲子園出場を誇る関大北陽だが、近年は大阪桐蔭と履正社の“大阪2強”に押され、甲子園から07年春を最後に遠ざかる。94年春夏連続出場時の4番打者で17年秋に就任した辻本忠監督(43)もまだ指揮官として晴れ舞台に立っていない。現在の野球部OB会は、会長が元オリックスのドラフト1位、現在は阪神打撃投手の嘉勢敏弘氏、副会長が森田光則氏。ともに辻本監督と同期でエース、主将だった。「先輩方は温かいんですが、同期は厳しい。よう“オマエ、勝てや!”と言われますわ」と苦笑いする。

優勝しても甲子園につながらない夏。樽見は「でも、目標は大阪一です。それを目指して2年半やってきました」と言う。選手も、監督も、OB会も、関大北陽が目指すべき場所は分かっている。【加藤裕一】