1年ぶりの実戦となった大島(東東京)が快音を響かせながら3年ぶりに初戦で姿を消した。

立志舎の前に2-11のコールド負け。昨秋は選手4人しかおらず大会に出場できなかった。唯一取り組めた打撃練習の成果といえる安打数は、相手を1本上回る8本を数えた。11与四死球、3失策が大差をつけた。新型コロナウイルス感染を防ごうと島から新幹線も利用しての「日帰り出陣」となる中、選手12人は精いっぱいのプレーを披露した。

   ◇   ◇   ◇

最終回となった7回も大島は2安打して1死一、三塁と攻め立てた。しかし後続がない。3番中村翔遊撃手(1年)が飛球を打ち上げ、試合は終わった。「回して欲しかった。でも1年生なんで」。次打者席で打球を見上げた4番藤井元也主将(3年)が悔やんだ。

天野一道監督(51)は攻撃陣をたたえた。「よかったですよ。昨秋からバットを振るしかできなかった。その成果が出たんですかね」。選手は4人だけ。素振りに始まり、グラウンドに出ても、ティー打撃に、ロングティーと続いた。今春、新入生8人が加わり、やっとチームが組めるようになった。

しかしコロナ禍から部活動自粛を求められ、今月1日にやっとスタートした。練習試合は0。試合は昨夏3回戦以来だった。天野監督は「立ち上がりに問題ありですが、しょうがない。それを防ぐ練習までできなかった」と話した。2回までに3失点。被安打0ながら四球の走者を犠打、失策、暴投でかえされた。

大島にコロナの感染者は出ていない。そんな不安も抱えての日帰り出陣だった。ジェット船で静岡の熱海に到着し、新幹線を利用して大田スタジアムに。「怖いけど、今までやってきた恩返しのためにも試合はしたかった。島にはじいちゃん、ばあちゃんが多いので持って帰れない。対策はやっています」と藤井主将が話した。

ナインは戦いを終えたあと、夜10時発の大型船に乗り込んだ。例年なら2等船室での「ざこ寝」になるが、感染対策から1人になれる特2等での帰郷になった。【米谷輝昭】