全国高校野球選手権の代替となる都道府県の独自大会が1日、神奈川、愛媛で開幕し、宮城、山形、宮崎で優勝が決まった。

東東京では東亜学園・鈴木隆之介投手(3年)が7回参考記録ながらノーヒットノーランを達成した。背番号14の左腕は小岩相手に61球、許した走者が四球の1人だけ。前日の救援に続く連投で公式戦初先発だったが、速球で右打者の内角をえぐり、第3シード修徳を撃破して勢いに乗る相手に何もさせなかった。

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快記録を達成したのに、鈴木隆は物足りない様子でベンチを出た。「最後まで行くつもりでした。ストライクが先行して、テンポよく投げられたんで」。7回裏、味方打線が一気に4点を加え、突然、終了が告げられた。

投球数は61だった。許した走者は3回2死後に与えた四球の1人。残りの打者21人は三振6、内野ゴロ9、内野飛球3、外野飛球3。鈴木隆は「右打者の内をつくクロスファイアが持ち味なんで。追い込んでからチェンジアップもよかった」。最速134キロの速球、変化球も効いた。これには小岩もお手上げ。茶川剛史監督(36)は「内角のコントロールがよくてスイングさせてもらえなかった」と話した。

昨秋の東京大会では背番号20でベンチ入りも、出番はなかった。大島公一(近鉄など)を輩出した志村球友会(ボーイズ)の出身。これまで肩、肘の故障を繰り返し、満足に投げられなかった。それが自粛期間を経て最後の夏を前に、急に調子を上げてきた。「指に球がかかるようになってきたんです」。前日の開成戦も3回1安打無失点に抑えていた。

無安打に武田朝彦監督(42)は頭を悩ませていた。「投げさせたい投手がいたんですが、無安打では代えられない。9回まで行けば、球数も増える。コールドを決めてくれと思っていました」。打線がこたえ、4回戦進出が決まった。「狙うのは優勝です」。遅れて来た鈴木隆が東京の王座とりを誓った。【米谷輝昭】