元阪神で左打者キラーの中継ぎとして活躍した遠山昭治監督(53)が指揮する浪速が大阪桐蔭と対戦。1-11で5回コールド負けした。監督就任後初の大会は2戦目で終了したが「いい指導者になれるように」と、高校野球の監督としての指導熱に火がついた。

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5回コールド負けにも、遠山監督の表情はすがすがしかった。「よくやりましたよ。桐蔭さんもしっかり当たってきた。9回までやりたかった」。主将の結野(ゆいの)颯太投手(3年)を先発マウンドに送った。緊張の右腕を、監督は「逃げるな!」と激励し続けた。

0-8で迎えた4回2死一、二塁で、村上真基投手(3年)が二塁手の右をしぶとく抜く中前適時打。「(中堅から逆方向という)監督の声は聞こえていました。みんなで食らいついた結果かなと思います」。3戦連続コールド勝ちの大阪桐蔭が、この夏初めての失点。全国トップクラスの強豪から遠山1期生が奪った「1」は、スタンドの1、2年生に勇気を与えた。

取材後、大阪桐蔭の西谷浩一監督(50)からあいさつを受けた。この日が初対面だった。遠山監督は「桐蔭さんは鍛え上げられている。こっちが指示を出す暇もなかった。相手が1枚も2枚も3枚も上」とその距離の大きさを口にした。

3年生はコロナ禍などで思うように野球ができなかった。3回戦は相手校の出場辞退で不戦勝。それでも「この大会ができて、子どもたちも切り替えることができる」と感謝。「またこれから積み重ねていい指導者になります」。この大敗を、高校野球で名将になる1歩とする。【石橋隆雄】