<高校野球大阪大会:大阪桐蔭15-1香里丘>◇9日◇準々決勝◇豊中ローズ

試合の裏に、高校野球ならではのドラマがあります。「心の栄冠」と題し、随時紹介します。

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今秋ドラフト候補の大阪桐蔭・西野力矢内野手(3年)が中学からの親友と初アベック弾を放った。4回1死一、二塁で左中間へ3ラン。今夏の大阪府独自大会5試合目、19打席目でようやく飛び出た1発は、高校通算30号となった。「今日は自分の本塁打よりも道端の方がうれしかった」と喜んだのが、同じ4回の先頭で、代打本塁打を放った道端良介捕手(3年)の1発だった。

道端はこの打席が公式戦初出場。その初球、内角高め直球を振りにいき、左翼へ豪快なアーチをかけた。「打った瞬間頭が真っ白になった。この桐蔭のユニホームを着て、打ったの初めて」。高校3年間で初の本塁打にベンチもスタンドも大盛り上がりだった。

2人は中学時代の南大阪ベースボールクラブからチームメート。西野が1番、道端が4番を打った。2人で大阪桐蔭に入学し、西野は1年秋からベンチ入りしたが、道端はこの日が公式戦初のベンチ入りだった。西野は「仲がいいだけでなくライバルです」と言い、道端は「西野とティー打撃をして、タイミングの取り方などを教えてもらった」と一緒に技を磨いた。新型コロナの影響で寮が閉鎖になった時も、ともに中学のチームに戻り練習を続けた。

西谷浩一監督(50)は「(道端は)すごく努力をする子。チャンスを生かして打ってくれてよかった」と喜んだ。道端は「(これまでの練習が)報われてよかったです」と胸を張った。大学でも野球を続ける。最後の夏にまたヒーローが誕生した。【石橋隆雄】