帯広農(北海道)が逃げ切った。

2回2死満塁で9番谷口純也外野手(2年)が右前に2点適時打を放ち先制。投げてはエース井村塁投手(3年)が、6回6安打1失点と好投するなど、リードを守り切った。

高崎健康福祉大高崎(群馬)は、今秋のドラフト候補左腕、下慎之介投手(3年)が先発して4回5安打3失点と振るわなかった。2回2死二塁で戸丸秦吾主将(3年)の左翼フェンス直撃の適時二塁打を放ったが、得点はこの1点のみ。帯広農を崩すことができなかった。

   ◇   ◇   ◇   ◇

友情ゆえのダメ出しだ。高崎健康福祉大高崎・戸丸は「良くなかった。次の舞台を目指す上で自覚して欲しい。コンディションの整え方が甘い。エースの自覚が足りない」と、4回5安打3失点の下に辛口だった。表情は険しかった。

高崎ボーイズ時代からバッテリーを組む。新チーム発足直後「日本一のバッテリーになろう」と誓い合い、昨秋関東大会優勝。神宮大会は準優勝した。コロナ自粛中も一緒に練習。お互いを信頼するから、言葉は厳しくなる。試合前「高めは簡単に打たれる。低めに」と確認したのに、帯広農に浮いた球を痛打された。

プロ志望の下に対し、戸丸は「甘やかすつもりはありません。次の舞台でどういう技術を身につければいいか考えて欲しい。自分の(下に対する)理想は高いので」とも言った。下も分かっている。「6年間で成長させてくれたのは戸丸。もっとできると思ってくれていると思う」。戸丸は大学を経てプロを目指す。下には伝えてある。「先に待ってろよ」。将来の夢はオールスターでバッテリーを組むことだ。【古川真弥】

▽高崎健康福祉大高崎・青柳博文監督「何もできずに終わりました。(帯広農は)粘り強くしっかり犠打で送って1本出て、それを守るという泥臭い野球をやって素晴らしいなと思いました。完敗です」