全国高校野球新潟大会は74チーム(84校)が参加し10日、ハードオフ新潟で開幕する。甲子園出場を懸けた夏の大会としては2年ぶり開催。開幕式の後、1回戦2試合で熱戦の火ぶたが切られる。春の県大会王者で第1シードの新潟産大付はエース西村駿杜(3年)がチームの柱となる。初戦2回戦は13日、正徳館・栃尾-小出の勝者と対戦。冬のトレーニングで鍛え、心身ともに成長した姿を披露し、初の甲子園を狙う。

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チームの大黒柱が戻ってきた。春季北信越大会では先発を外れていた西村は本格的な投球練習を再開させた。コントロールの精度を上げていくために、ブルペンでフォームの確認を繰り返す。春季県大会ではチーム6試合中4試合で先発し3完投。計34回2/3で512球を投げた。「自分の中で一番、試合を重ねた大会だった」。自身が感じていた以上に体全体を酷使していた。県王者として臨んだ北信越で、チームは4強入りも登板せずに体を休ませた。

昨秋の県大会は中越に2-3で競り負けて初戦2回戦で敗退。「自分がピンチの場面で我慢できていれば勝てた試合だった」。悔しさから冬場はハードな走り込みで徹底的に鍛えた。50メートル弱の廊下を2~4往復で1本として走った。本数も時間も未設定。「ラスト」の声がけまで走り続けた。終わりを予測できない走り込みを1日約2時間行った。「自分に負けずに全力で最後までやり切る意識で行った」と言う。成果は表れた。球速は常時135キロ前後をマークし、MAXでは140キロを越えた。

吉野公浩監督(54)も「走者を背負っても、得点は与えない投球ができるようになった」とひと冬を越え、成長を認めた。「春は秋よりも心にゆとりを持って投げられるようになった」と心身ともに充実ぶりを実感した。それでも西村は「春は60点」と辛めの自己評価で「野手に助けてもらう場面が多かった」と振り返る。最後の夏、「1試合1試合、全力で。チームの勝利に貢献できるような投球をしたい」と初の甲子園出場に挑む。【飯嶋聡美】