長岡大手の1番・佐藤涼中堅手(3年)は走るスピードを緩めなかった。二塁を蹴っても歯を食いしばり、三塁に走り込んだ。11-3で迎えた4回裏1死一、二塁。二塁打が出ればサイクル安打達成の打席だったが、記録より勝負を優先した。「(サイクルは)気づいていたけれど、積極的に塁を狙うのが持ち味」。記録をフイにしても、表情は晴れやかだった。

佐藤は1回に豪快な左翼柵越えのソロ本塁打を放った。石田康剛監督(44)が「初回の本塁打で勝負は決まった」と評した、チームを勢いづける一発。2回無死満塁の場面では中前適時打。3回1死二塁では右中間への適時三塁打を放ち、3打席でサイクルの王手をかけていた。4打数4安打の打点5。「夏は打ち勝とうと言ってきた」と話した佐藤が、チームを象徴する快打の連発だった。【涌井幹雄】