羽茂が新発田に17-8で7回コールド勝ちした。08年以来13年ぶり、12大会ぶりに夏の初戦を突破した。エースで3番の風間晴斗投手(3年)が投打で奮闘。右柵越えの2ラン本塁打を含む4打数3安打で暴れ、投げては7回を被安打13の8失点しながら10奪三振の力投を見せた。

両手の感触は初めて経験するものだった。9-5で迎えた5回2死三塁。風間が放った打球は低い弾道で98メートル表示の右翼フェンスを越えた。「手に衝撃がなかった。球が当たってないような感じ」というバットを、上半身を弓なりにしながら振り抜いた。公式戦初の柵越え本塁打。打つと同時に雄たけびを上げ、二塁を蹴ると右腕を突き上げた。「気持ち良かった」。

3番打者としての打撃の貢献は大きかった。6得点した3回は先頭打者として中越え二塁打。打者12人の大量得点劇の口火を切ってチームを乗せ、自分も乗った。この回の2打席目。2死一、二塁で中前打と、1イニング2安打の固め打ちを決めた。冬場から砂を詰めた重い球を打ってきた。冬の練習が夏に結実した。

羽茂は08年以来の夏1勝。風間は「『自分たちの代で勝とう』と言い合ってきた」と言う。登録メンバーはわずか11人の小所帯が新発田に打ち勝った。渡辺浩監督(61)は「勝てば、みんなのおかげ。負ければみんなのせい」と11人野球を強調したが、エースとして風間は失点の責任を1人で背負い込んでいた。

7回148球を投げ、10三振を奪いながら、被安打13で8失点。「立ち上がりは上半身が突っ込んでしまった」と反省したが、試合中にフォームを微調整するところは並の投手ではない。「後半は修正して、いい感触をつかめた」と言う。直球の最速は137キロだが「(準々決勝からの)ハードオフ新潟で140キロの直球を投げる」と目標の8強入りを見据えていた。【涌井幹雄】