日本文理が2年ぶりの夏へ好発進した。初戦2回戦で新発田中央に6-0で快勝した。2年生エース、田中晴也投手が公式戦初完封。9回を6安打、8三振で相手打線を封じた。

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飛球が高橋悠企右翼手(3年)のグラブに収まるのを確認すると、マウンドの田中は涼しい顔で整列に加わった。9回は先頭に二塁打を許し、2死一、三塁。最後まで息を抜けない投球が続いたが焦りはなかった。「ピンチでも落ちついて投げられるのが自分の強み」と冷静に公式戦初完封を決めた。3回にも無死一、二塁の走者を背負いながら「抑える、という強い気持ちで」と切り抜けた。県大会は昨秋は8強、今春は4回戦どまり。夏2年ぶり甲子園へ、名門・日本文理の2年生エースは強心臓だった。

13安打したチームの中で、3番に入る田中は5打数無安打に終わった。「5タコなんて初めてじゃないですか」と話した鈴木崇監督(40)は「(田中)晴也は投げるのに集中」と言った。本人も味方が3点を先制した4回以降は、それまで以上に投球に集中した。「打者を観察しながら配球に気を配った」と的を絞らせない投球を意識。打たれた安打は6本。「高さ、コースが甘い球があった。1球が勝敗を決める」と初完封にも満足しない心構えはエースにふさわしかった。

9回、117球を投じた。「9回投げられたのを自信にしたい」と田中は言う。もちろん、暑い夏の決勝までを見据えてスタミナ強化を図ってきた。中1日で行われる準々決勝から決勝までの日程に合わせ、投げ込みを積んだ。150球の投球を1日置きに3回。5日間に計450球投げて2年ぶりの県頂点へ、シミュレーションは完了した。直球の自己最速は142キロ。「打たれない気持ちで投げる」と言う2年生エースの夏は、始まったばかりだ。【涌井幹雄】