注目の対戦は日本文理が帝京長岡に8-3で勝った。背番号16の9番・米山温人遊撃手(3年)が3-3の8回表無死満塁から右中間に勝ち越しの2点二塁打を放つなど、この回一挙5点を奪い、勝負を決めた。

力強くバットを振り抜いた。同時に「自然と声が出た」。打球の行方を追いながら米山は大声で叫んだ。8回表無死満塁。大会屈指の本格派、帝京長岡のエース茨木秀俊(2年)の直球を右中間にはじき返す。二塁に到達するとテンションはマックス。沸き上がる自軍ベンチに向けてガッツポーズを繰り返した。

0-3とリードしていたが、7回裏に追いつかれた。その直後の攻撃。無得点に終わると相手に流れを渡してしまいかねない。そんな状況で迎えた勝ち越しのチャンス。米山は「茨木君には球数を多く投げさせようとしてきた」。決勝打こそ初球だったが、4回は6球投げさせて四球を選び、中飛に終わった6回も5球使わせた。少しでもスタミナを奪おうと地道に仕事を重ね、最後にド派手な1本を披露した。

背番号は16。昨秋は6番を着けていたが、今春から1年生の平田来輝に譲った。それでも「16番でも6番でもチームに貢献できればいい」。前日19日の打撃練習では最速141キロの茨木の速球を想定し、投手にマウンドの5メートル前から投げてもらって調整。しっかり目慣らしをした。「3年生の意地。チャンスをものにしてくれて良かった」。鈴木崇監督(40)は伏兵の活躍を褒めちぎった。

23日の準々決勝、相手は今春の県大会準優勝の関根学園。日本文理は4回戦で5-6でサヨナラ負けした。「打倒関根を目指してやってきた。絶対に勝つ!」。米山はテンションをさらに上げ、自らを鼓舞した。【斎藤慎一郎】

 

○…2年生好投手の“ライバル対決”は日本文理のエース田中晴也が制した。田中は8回を7安打3失点、帝京長岡・茨木は8回途中で降板し9安打7失点。ただ7回までは互角だった。「同い年でいい投手。絶対に負けたくなかった」と言う田中は「7回を同点で終えられて良かった」。茨木は「立て直そうと思ったが…」と8回の失点を悔やんだ。プロも注目する好素材同士の投げ合いが試合の緊張感を生んだ。