開志学園は北越に9-4で勝ち、初のベスト4入りを決めた。遠藤崚晟(りょうせい)右翼手(3年)が0-2の4回無死一、二塁で左中間へ逆転3ラン本塁打を放ち、打線に勢いをつけた。

気持ちを込めた。バットが手から離れた瞬間、遠藤はもう右腕を突き上げていた。2点を先制され、迎えた4回表無死一、二塁の打席。遠藤は初球をフルスイング。思いが詰まった打球は左中間スタンドに飛び込んだ。「気持ち良かった」。公式戦初本塁打を最高の場面で決め、満面の笑みを見せた。1発で試合の流れを変えた。5番打者の逆転弾で勢いに乗った打線は、その後も着々と得点を重ね、北越を突き放す。09年創部以来初の4強入り。18年の8強を超え、開志学園野球部の歴史を塗り替えた。

前日(21日)の練習では不調だった。「自分のスイングがおかしくなっていた」。練習中には川上大輔監督(32)に「適当なバッティングをするな」と注意も受けた。悔しさから自宅に戻り、約1時間みっちり振り込み、試合当日を迎えていた。会場入り前の練習では川上監督が「昨日とは違う人間が打っているんじゃないか」と言うほど、手応えをつかんでいた。

力強いスイングのパワーの源はご飯。中学2年の頃から、毎日7合を食べていたという。「今は、もうちょっと食べてます。疲れるとおなかが減るので」と笑う。1日8合を平らげるようになり、この日も朝食と試合前に3合のご飯を食べて試合に臨んでいた。

4試合59得点、チーム打率4割4分9厘の猛打でノーシードから勝ち上がってきた。25日の準決勝は春の県王者、第1シード新潟産大付とぶつかるが、気後れはない。「チームの苦しい場面で、大きいバッティングをしたい」と力強かった。【飯嶋聡美】