新潟明訓は東京学館新潟に5-4で逆転勝ちし、16年以来の夏4強入りを決めた。0-4の7回裏に7番小黒拓巳(2年)の中越え二塁打で1点を返して反撃開始。続く8回、2点を追加し3-4とし、なお2死二、三塁で再び小黒が中越えに三塁打を放ち、逆転した。

ミスを自分で取り返した。8回裏、3-4と1点差に追い上げ、なお2死二、三塁で小黒は打席に入った。2ボールからの3球目。打球は中堅手の頭上を越えた。必死に走り、土煙を上げて三塁に右足から滑り込んだ。2者を返す逆転の三塁打。立ち上がるとベンチに向かい右手を突き上げた。「最高でした」。

5回の3失点の責任を背負っていた。0-0での守り。2死満塁で三塁手の小黒にゴロが転がってきた。だが、一塁へまさかの悪送球。満塁の走者の生還を許した。「確実にアウトを取らなければ、と思い焦りが出た」。島田修監督(56)、選手らが小黒に「まだ終わってない。絶対に諦めるな」と声をかけ続けてくれた。ベンチの気持ちに応えるように0-4の7回裏には中越え二塁打を放ち、反撃の1点をたたき出してもいた。

3点差を追う8回の攻撃時には4番加藤麗桜捕手(3年)に「自分が必ず取り返すので自分に(打席を)回してください」と大仕事を宣言していた。失った3点を取り返した小黒は「エンターテイナー」とナインにはやし立てられた。島田監督も「なかなかできることじゃない。本当によく取り返してくれた」と諦めなかった7番打者をほめた。

25日の準決勝は日本文理と対戦する。日本文理の2年生エース田中晴也とは小学生時代から県選抜で一緒に野球をしていた。「同じ長岡市出身としても絶対に負けられない。次も“エンターテイナー”小黒を見せる」と、ここ一番での活躍を誓った。【飯嶋聡美】