花巻東(岩手)の2年生スラッガー、佐々木麟太郎内野手が5日、岩手・花巻市内で行われた早実(東京)との練習試合で、高校通算69号となる本塁打を放った。

ダブルヘッダーに2戦とも出場し、2試合目の4回1死、右翼芝生席にアーチをかけた。パイレーツ筒香が横浜高(神奈川)時代にマークした本塁打数に並んだ。

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復活の希望を乗せた打球が、右翼芝生席へ吸い込まれた。3点を追う4回1死、佐々木麟は低めのチェンジアップをすくい上げるように、力で運んだ。「流れをもってくる打撃がしたかった。スタンドに入ってくれてよかったです」。早実との練習試合は2戦計6打数3安打2打点。高校通算111本を誇り、日本ハムに入団した清宮を育てた敵将・和泉実監督(60)の前で、破壊力を見せつけた。

今春のセンバツ後、理想のフルスイングができず苦しい日々を送っていた。昨年12月に受けた胸郭出口症候群の手術は成功したものの、リハビリが思うように進まなかった。理想と現実の打撃フォームにギャップを感じてきたが、前日4日からは技術的な取り組みではなく、事前に筋肉をほぐすなどの肉体的アプローチに重点を置き、この日の1本へとつなげた。「まだ満足していません。打球の質が自分らしくない」と納得はしていないが、感覚を取り戻す糸口が見つかった。

清宮とは同じ右投げ左打ち。しかし早実の和泉監督は「スイングの大きさは清宮とタイプが違う」と評した。一方、共通点として挙げたのは取り組む姿勢。「本調子でなくとも表情に出さない。芯の強さを感じる。そこが日本一のバッター」と言い切り、1試合5三振してもベンチで声を張り上げていた清宮の姿を例に出し、手術からの完全復活を目指す佐々木麟にも「自分に厳しくすることで、いつか(思い通りの打撃を)表現できる時がくる」とエールを送った。

佐々木麟は小学校4年生のとき、早実・清宮が甲子園で本塁打を放つ姿に衝撃を受けた。「(当時は)強く振ることの大切さに気付かされた」。この日、その相手と対戦し「初心に返りバットを振る」と、原点を思い出した。8日からは春季東北大会(福島県)に出場。2季連続東北制覇へ活躍を誓った。【保坂淑子】