<高校野球大阪大会:大阪桐蔭7-0履正社>◇30日◇決勝◇大阪シティ信用金庫スタジアム

王者の圧巻V!! 今春センバツ優勝校の大阪桐蔭が「無敵」の圧勝優勝を果たし、2年連続12度目の甲子園出場を決めた。宿敵の履正社と9年ぶりの大阪大会決勝。相手の機動力封じのために、左腕の前田悠伍投手(2年)を先発に起用し、1回、いきなりけん制で刺した。西谷浩一監督(52)も「足さえ殺せば有利」と話し、用兵が的中した。今大会はチーム54得点で、わずか1失点。投打のバランスは抜群で、昨秋の明治神宮大会からの「秋春夏3連覇」に初挑戦する。

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その話を聞いたのは、今春の選抜大会閉会式のときだった。優勝メダルを受ける選手たちを眺めながら、大阪桐蔭の石田寿也コーチ(43)は「自分たちは弱い、と思い続けていますから」とつぶやいた。

新チームが発足した昨秋、オリックス池田が主将の前チームと紅白戦で対戦し、敗れた。上級生の強さを身をもって知ったことが、原点だ。

上級生は、昨夏の甲子園で近江(滋賀)に負けた。あのチームを倒すチームがあるのなら、弱い自分たちは必死にやらない限り優勝旗などつかめない-。その危機感を持ち続ける。主将の星子は「先輩と自分たちはレベルが違った。技術、メンタルでも力の差が分かった。先輩たちが勝てないなら自分たちは何をしないといけないのか、から始まりました」と明かす。「レベチ」の衝撃を忘れることはない。

西谷監督は「自分たちは弱いと思う気持ちに変化は、ないですね。でも、もっとうまくなりたい、こうしたいという気持ちがすごくある学年」と額に汗する選手たちを見つめる。3年生は入学時から野球ノートに「春夏連覇したい」「そのために大阪桐蔭に来た」と書き込んでいた。高い志を持って奮闘する姿に、監督も「挑戦できる喜びを持ってやりたいと思います」と甲子園春夏連覇に挑む。【堀まどか】