全国高校野球選手権の新潟代表・日本文理(3大会連続12度目)は今日8日、1回戦で長崎代表・海星(3年ぶり19度目)と対戦する。7日、午前9時から兵庫・津門中央公園野球場で調整。エース田中晴也投手(3年)は最速150キロのプロ注目右腕としてマウンドに立つ。甲子園初体験の昨夏は初戦2回戦で敦賀気比(福井)に15安打8失点と打たれ、6-8の敗戦。昨年のリベンジを果たし、17年の日本文理以来の県勢初戦突破を果たす。

気負いも、迷いもない。「勝つ可能性を広げる投球をして、最後のアウト1つまで投げ切れるように」。田中は普段通りの気持ちでマウンドに上がる。7日は捕手を立たせたまま、20球ほど投げた。「出力を上げた」と1球ごとの質に納得した。3番に座る打撃では「直球に振り負けないように」と海星の宮原明弥、向井恵理登(いずれも3年)の右腕2枚看板を意識して打ち込んだ。

唯一の不安材料、新潟大会で出血した右手人さし指のまめも「大丈夫」と言い切る。新潟大会後、大阪入りするまで治療に努めた。「思ったより治りが早かった」とひと安心。鈴木崇監督(41)も「ブルペンを見ても大丈夫だと思う」と太鼓判を押す。

大阪入りしてからランニング量を増やした。本塁から中堅まで約100メートルのダッシュをし、その後に短距離ダッシュで体の切れを出す。昨年は短距離だけだったが「秋、春、夏と県大会中も走ってきた。その方が調子がいい」と言う。昨夏の甲子園は敦賀気比に15安打8失点と、ともに自己ワーストの被安打、失点で敗れ「全国の壁の高さを知った」と振り返る。「各回の先頭を打ち取る。四球を出さない、最少失点に抑える」。冷静に2度目の甲子園マウンドの具体的なテーマを自身に課す。

昨年の敦賀気比戦で当時自己最速147キロをマークした。1年を経て最速は150キロの大台に乗った。そんな成長ぶりを海星戦で見せるつもりだ。「勝つために甲子園に来た。抑えられる自信はある」。1年間培った力を発揮し、県勢、そして日本文理の5年ぶりの初戦突破で「壁」を破る。【斎藤慎一郎】

▼田中の21年甲子園 初戦2回戦で敦賀気比(福井)と対戦し、田中が先発。当時の自己最速147キロをマークも、2回までに6失点と立ち上がりに苦しんだ。8回を148球、被安打15、7奪三振、8失点で降板。試合は6-8で敗れ、2年連続で初戦敗退となった。