三重は反撃およばず初戦で甲子園を去った。

エース上山颯太(3年)が8回途中4失点と力投。自己最速に並ぶ144キロの速球とチェンジアップを四隅に投げ分けた。4安打に抑えたが、四死球でピンチを招き、要所で変化球をヒットにされた。

「コースに投げれば大丈夫と、打たれても動揺していなかった。今日は内角に多めに投げようと思っていた。内角をしっかり使えたと思う。しぶとい打者ばかりで簡単に三振してくれなかったけど、内角球でファウルを打たせてカウントを取れたと思う」。

昨夏もエースとして2回戦で樟南(鹿児島)を完封。だが3回戦の敦賀気比(福井)戦は初回に5失点と乱れ、立て直せないままKOされた。右肩痛に悩まされた1年間だったが、懸命のリハビリで最後の夏に間に合わせてきた。

「少し四死球が多かったけど、自分の中ではやり切ったと思う。去年は打たれ出したら動揺して大量点。今年は最少失点で抑えられたと思います。最後、この甲子園で終われて、本当に悔いはないです」と晴れやかな表情だった。

1-2と接戦だった8回2死一、二塁。打ち取ったかに見えた高い飛球を、前進守備の右翼手がつかめず、不運な2点三塁打になった。エースはここで降板。大きな拍手を浴びながら、谷公希投手(3年)にマウンドを譲った。

打線は0-2の6回、3番野田泰市外野手(2年)の中前打で1点差に詰め寄った。3点を追う最終回も2年生の高山亮太捕手の左越え二塁打で1点を返し、意地を見せた。

スタメンに3年生は3人だけ。主力に2年生が多く、遊撃の田中聡真内野手は1年生だ。主将の宇佐美貴也内野手(3年)は「最後は全員で三重高らしい野球ができた。粘り強い打線を継承して、甲子園に帰ってきてほしいと思う」と後輩に託した。

沖田展男監督(44)は悔しい表情を浮かべながらも「ロースコアの、理想とするゲームができた。下級生が多い中、うちらしい野球ができた。新チームにつながるゲームができたんじゃないか」と手応えもつかんでいた。

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