第104回全国高校野球選手権(甲子園)に南北海道代表として出場した札幌大谷が12日、札幌市内のグラウンドで、新チームとして始動した。新主将には二松学舎大付(東東京)戦にフル出場した佐々木涼斗捕手(2年)が就任。グラウンドでは学年関係なく意見を出し合えるようにと、自身が中学1年から貫いてきた“タメ口”を奨励した。全国舞台で感じたのは「目力」の差。年齢関係なく指摘し合って“野獣の目”を身に付け、4年ぶりの秋季全道大会制覇と、来春センバツでの勝利を目指す。

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心はもう秋へと切り替えた。佐々木はこの日朝、練習開始前に、船尾隆広監督(51)から主将指名を受けた。秋の札幌地区予選は24日に全10地区で最初に組み合わせが決まり、9月6日に開幕する。準備期間は短いが、新たなボスとして「甲子園出場を目標にしていたから勝てなかった。今度は甲子園1勝が目標」と強い口調で話した。

新主将の“公約”は「タメ口の奨励」だ。札幌新琴似シニアでも中1からグラウンドでは先輩にタメ口。札幌大谷入学後もブレずに続けてきた。「後輩が先輩に立ち向かってくるぐらいの姿勢の方が自分も燃える。互いに言いやすい環境にできたら」。母千鶴さん(44)は96年に春高バレー出場。2年生で全国舞台を踏んだ母に「グラウンドでは学年は関係ない」と教えられてきた。先輩に敬意は払うが、戦いの場では同士。年齢問わず意見を出し合える組織にしていく。

自分たちに足りないものを、聖地でみつけてきた。二松学舎大付の辻大雅(3年)、重川創思(2年)の2投手と対戦し「北海道にはない強い目力を感じた。全国で勝つには、表に見えるような気持ちの強さも大事」。年齢問わず厳しく指摘し合うことで、闘争心が両目を伝いあふれ出る軍団に、進化させる。

捕手として9回1死一、二塁でエース森谷大誠(3年)に外角を要求も、甘く中に入った球を痛打され、結果的にサヨナラ負けにつながった。「あそこで自分がもっと厳しく外を要求していたら」。敗戦を徹底的に見直し、14、15年東海大四(現東海大札幌)以来の夏春連続甲子園につなげる。【永野高輔】

<三塁手に転向 樹神>

甲子園で4打数無安打3三振に終わった樹神(こだま)瑠生内野手(2年)が、センバツでの雪辱を誓った。南北海道大会はチーム1位の打率6割2分5厘も、聖地では快音響かず「球速以上に球の伸びやキレがすごかった」。打撃に集中するため新チームでは遊撃手から三塁手に転向する。中学まで経験も「打球が変わるので気をつけたい。(駒大苫小牧で04、05年夏甲子園連覇の)五十嵐部長が三塁の名手。何でも聞いて吸収したい」と話した。

<志望届出さず 森谷>

最速148キロ左腕の森谷は、プロ志望届を提出せず、関東の大学に進学して野球を続ける。南大会後に船尾監督や両親とも話し合い、大学4年で力をつけてから、あらためてプロを目指すことになった。船尾監督は「南大会での投球内容を振り返って、自分で悟った部分があったようだった」と話した。大谷翔平が高校時代に取り組んだ“原田メソッド”に取り組むなど意識は高く、メンタル、技術ともに磨きをかけ、4年後の指名につなげる。