二松学舎大付は、5度目の挑戦も8強の壁を破れなかった。昨年に続き、関東1都6県から1校も8強に残れなかった。

小林主将に涙はなかった。最後まで、攻めの姿勢を貫いた。9回、先頭の代打五十嵐、瀬谷がこの日初の連打。1死一、二塁で代打として、小林が今夏、甲子園初打席を迎えた。結果は投ゴロ。笑顔でベンチに戻った。「楽しむことができた。すごい観客の中で打席に入れたことが幸せ」。

守備でも攻めた。初回から、ピンチでは前進守備。打球方向を分析し、大阪桐蔭の4番丸山の打席では、遊撃手が二塁ベースの後ろを守り、三遊間を大きく空けたシフトを取った。

小林は、ベンチから声を出し続けた。東東京大会途中まで4番を務めたが、これで野球は引退する。昨年3月の練習試合で右肩を脱臼。以来、何度も脱臼するようになり、野球の進路は諦めた。「大学では、新しい道を歩みたいなと思っています」。経済学を学びたいという。「自分の野球人生はこの2年半で、二松学舎大付で、監督さんの元で野球ができて幸せでした」。市原勝人監督(57)は「これからも受け継いでいきたいキャプテン像」と偉大な主将をたたえた。【保坂恭子】

○…2回戦で1年生4番として1発を放ったスラッガーの片井は、なかなか涙が止まらなかった。4回1死、フルカウントから大阪桐蔭・川原の146キロ直球を逆方向へはじき返し右前打。9回は好機で回ってきたが、一直に倒れた。「悔しい気持ちが大きい。大阪桐蔭さんとやれてレベルの違いを見せつけられた。頑張って近づけるようになりたい」と話した。

▽二松学舎大付・布施(2番手で登板し4回1/3を無失点)「センバツと違い楽しめました。仲間の顔も見ることができて、どっしりと投げることができました」

【写真たっぷり詳細ライブ】春夏連覇目指す大阪桐蔭、下関国際、九州学院、聖光学院がベスト8/甲子園詳細