岩手では2連覇を狙う花巻東が、今夏甲子園に出場した一関学院を6-2で破り、4強入りを果たした。大阪桐蔭時代の巨人中田翔内野手(33)に並ぶ高校通算87本塁打の佐々木麟太郎内野手(2年)は、3打数3安打1打点1死球と躍動。中嶋禅京(ぜんき)外野手(2年)の決勝打も呼び込んだ。

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佐々木麟が、ほえまくった。一関学院に敗れれば東北大会出場を逃し、来春のセンバツ出場も絶望的となる窮地。同点に追いつかれた直後の8回、先頭で意地の一打を放った。「何が何でも出塁し、チームに流れをつけよう」と初球を流し打ちして左前打。「とにかく、この一戦をものにすることしか考えてなく、『みんなにつなぐんだ』という気持ちを第一に持っていました」。この日はライナー性で強い打球を意識。代名詞の1発はなかったが、3安打のうち2本が逆方向とチーム打撃に徹した。

続く千葉柚樹内野手(2年)の打席では一塁から激走し、勝利への執念を見せた。佐々木麟は三ゴロ併殺を狙った二塁への送球がそれると、一気に三塁を陥れた。千葉が二盗を決め、無死二、三塁とチャンス拡大。中嶋が中前打を運ぶと、右拳を力強く握りながら勝ち越しの生還を果たし、雄たけびを上げた。1点リードの3回には左越え適時二塁打を放ち、ほえ、その表の守備でも2死一、二塁のピンチを三ゴロでしのぎ、一塁で捕球後、ほえた。

「この一戦を必ずものにしないと先がない状況だった。全員で最後まで意識を高く持ち、徹底してやりきること、つなぐこと、堅い守りから攻撃にリズムをつないでいく意識でいた。最後はゲーム展開がどうなるか分からなかったが、ものにできたので、次の試合にもつなげていきたいです」

上位3チームに参加資格のある東北大会出場に王手をかけ、24日の準決勝は盛岡大付と対戦する。佐々木麟が再び歓喜の雄たけびを上げる。【山田愛斗】