21年秋の明治神宮大会で4強入りし、昨春センバツに出場した花巻東(岩手)ナインが新たなステージへ羽ばたく。みちのく屈指のスピードスター・菊池敏生外野手(3年)が、昨秋の東都大学野球リーグで優勝した国学院大に進学する。

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花巻東のスピードスターが「戦国東都」へ舞台を移す。俊足巧打の菊池敏は「(国学院大は)レベルの高い選手が集まると思う。どんどん吸収していって、1年からレギュラーを取るつもりでやっていかないといけない」と気持ちを新たにした。国学院大は昨秋の東都大学野球リーグ王者に輝いた強豪。全国各地から集う猛者とともに自らを高めていく。

快足を武器に勝負する。2年秋の明治神宮大会。初戦の国学院久我山(東京)戦で一塁到達3秒55をマークした。これは球界屈指のソフトバンク周東佑京内野手に匹敵。YouTubeに上がるなど、その驚異の脚力に注目が集まった。「自分が思っている以上に周りからの反応があった。足の速さを生かしたプレーに自信を持てるようになった」と言う。

積み重ねた努力が、強みを生んだ。原点は中学時代にある。和賀西中では花巻シニアでプレーし、陸上部にも所属。毎朝、30分間のダッシュを日課としていた。30、50、100メートルの3本1セットの走り込みを続けた。50メートルは6秒ジャスト。小学生の頃から運動会の徒競走では「負けたことがない」脚力を磨き続けた。

花巻東では「出塁率」にこだわった。「足を生かすためには出塁しないと始まらない」。左打席では常に逆方向へ転がすことを意識した。1年かけて流し打ちの技術を身につけ、バント練習にも人一倍取り組んできた。「クリーンヒットよりも内野安打の方が同じ安打でもうれしい。特別な気がします」。

まだまだ伸びしろがある。「盗塁と守備が得意ではないので、大学ではもっと伸ばしていきたい」と目標をかかげた。最大のストロングポイントを軸に「戦国東都」での4年間を駆け上がっていく。【佐藤究】

◆菊池敏生(きくち・としき)2004年(平16)11月17日生まれ、岩手・一関市出身。小2から和賀西イーグルスで野球を始め、和賀西中では花巻リトルシニアに所属。花巻東では2年秋にベンチ入り。50メートル6秒0。右投げ左打ち。168センチ、67キロ。好きな選手はエンゼルス大谷翔平。好きな言葉は「つらい時こそ笑顔」。