春日部共栄が敗れ、本年度限りでの勇退を決めている本多利治監督(66)の“最後の夏”が終わった。
自校スタンドに6秒間頭を下げ、相手側にも頭を下げた。ベンチへ腰かけ、冷水でしぼったタオルで左耳からふく。「泣くなっ!」と選手たちに低音を響かせた。「明るく、楽しく、元気よく」。いつも通りの姿勢を最後まで求めた。
高知県出身で、高知高では75年センバツで優勝も経験した。80年に春日部共栄が設立され、同時に22歳の若さで野球部監督に就任。甲子園には春夏通算8度の出場を果たしている。
選手たちにも「ワシのために力む必要はない」と告げながら戦った夏。敗れると「夏、終わったな…って感じですよ。44回目の夏、かな。子どもたちに感謝ですよ。浦和学院も20何年ぶりに夏に倒せたし」と感慨深そうに話した。
最後の夏は、同じ東部地区の昌平に敗れた。「昌平に徳栄に。ベスト4に東部地区が3校ですよ。昔は東部と当たれば楽勝なんて言われてたのに。打倒共栄というより打倒本多が多かったですよ」と豪快に笑う。
来年3月31日までは指導を行う予定で「明日から練習ですよ。私に時間がないんで。休んでる場合じゃない」と感傷に浸るつもりもない。
「今日の試合でも勉強になりました。きっちり真剣に伝えたい。選手たちには最後の秋って思わせないように。選手にのびのびとやらすのは間違いないと思います」
最後の夏が終わり、いよいよ最後の春に向かう。
「あきらめんじゃねえぞ! 行け~オラ~!」
最後は及ばなかったものの9回の攻撃中、名将がそう声をからすと、選手たちは笑顔でテンションを上げていた。【金子真仁】

