甲子園に、初めての校歌が響き渡った。夏初出場の石橋(栃木)は先発の入江祥太投手(3年)が毎回の11奪三振で4安打完封し、学校創立100周年で新たな歴史を刻んだ。栃木の県立高の甲子園勝利は02年の小山西以来、22年ぶり。霞ケ浦(茨城)は強打の智弁和歌山(和歌山)に2者連続本塁打を浴びながらも、延長11回タイブレークを制し、こちらも初勝利を果たした。青森山田は長野日大を11安打9得点で破り、滋賀学園は花巻東(岩手)に勝利した。
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霞ケ浦ナインの笑顔が西日に照らされた。校歌を歌い終わると、応援席に全力で駆け寄り喜びを爆発させた。創部から78年。春夏通算42度出場の伝統校、智弁和歌山を破り聖地初白星をつかんだ。
高橋祐二監督(65)は「まさかこんな試合ができると思ってなくて。本当に勝っちゃうんだ」と興奮気味に話した。チームでは「校歌を聖地で歌う」が合言葉。「やっと歌えた。みんなに聞いてもらえた」と感極まった。
3点リードの8回に2本塁打で追い付かれた。8回2死から救援した真仲は「県大会の水戸商の応援もすごかったので」と、相手の魔曲「ジョックロック」にも、のまれない。鋭く落ちるスライダーを武器に、火消しに成功。延長タイブレークの11回には打者として三塁強襲の内野安打で追加点を挙げた。最終回には自己最速を更新する143キロをマークし、気迫の投球でゲームセット。マウンド上で万歳をして喜んだ。
元三塁手。投手転向1年の右腕がチームを救った。肩が強かったこともあり、指揮官から勧められたことがきっかけで「ピンチで抑えたときが一番楽しい」という。スタンドからは父・博之さん(48)が「僕も甲子園を目指して夢がかなわなかった。よく投げたと言ってあげたい」と見守った。
指揮官は元バレーボールの監督。19年間指揮を執り、01年には同校初の「春高バレー」出場に導いた実績を持つ。01年から野球部の監督に就任。これまで広島遠藤、ロッテ木村など長身右腕を育ててきた。エース市村も188センチの長身で、木村からはチームへ「去年決勝で負けた借りを返してくれ」と激励があった。
90年春の初出場からようやく訪れた甲子園初勝利。「絶対に負けない気持ちは誰よりもある」と真仲。あと5回、校歌を歌う。【佐瀬百合子】
○…得意のスローカーブで強打の智弁和歌山打線を翻弄(ほんろう)した。先発の市村は「オリックス宮城を参考にした」という80~90キロのスローカーブで緩急をつけ7回2/3を5安打3失点。5回から右手親指がつり「集中力が切れた」と8回に2本塁打を浴び「これが甲子園か」と脱帽した。智弁和歌山の大応援団対策として、5日前から同校の魔曲として知られる「ジョックロック」を聞きながら就寝。「今日は楽しく投げられた」と笑顔を見せた。
◆霞ケ浦 1946年(昭21)に創立の私立校。開校時は男子校、04年から男女共学。野球部は46年創部。部員数は84人(マネジャーは2人)。甲子園出場は春1度、夏3度目。主な卒業生に遠藤淳志(広島)、木村優人(ロッテ)ら。茨城県阿見町青宿50。岡村守校長。

