高校野球の強豪、広島の広陵硬式野球部で上級生による下級生への部内暴力が発覚した問題で、加害生徒とされている1人が、交流サイト(SNS)上の書き込みにより名誉を傷つけられたとして、投稿を行った被害生徒の親権者とみられる者を含む複数の人物を、名誉毀損(きそん)容疑で東京地検に刑事告訴した。10日、代理人弁護士が同地検に告訴状を提出した。
今回、代理人弁護士側が主張しているのは
<1>学校側の説明会で使われた資料が、拡散目的で外部のSNSアカウントに流出したこと
<2>部員の個人名や顔写真ととともに、事実と異なる情報がSNS上で広がったこと
これらによって告訴人の名誉を損なう行為が行われた疑いがあるとし「1番我々として主張したいのは、事実と異なる情報が1人歩きして、ネット上では『加害生徒』と出ていることです」と訴えた。
先月の甲子園開催期間中から相談を受けてきたという。告訴人は進路に重大な影響を及ぼすなど事態は深刻化を増しており、出場辞退からちょうど1カ月が経ったこの日、刑事告訴に踏み切った。
特定アカウントの開示請求も求めながら準備し、さらに民事訴訟も検討していくという。
この問題を巡り、同校は今年8月に出場中だった全国高校野球選手権を途中で辞退。学校側は名誉毀損に対して法的措置を含めて対処する旨を表明していたが、個人としては初めてのケースとなる。
加害生徒の代理人によると、同校硬式野球部では今年1月末頃に、告訴人の部員を含む複数の部員が、下級生部員1人に対して、暴言や暴行を行う不祥事が発生。
7月下旬頃から、被害を受けた下級生部員の親権者とみられる人物が、インスタグラムに「息子がいなくなった」「『息子さんが寮内でカップラーメンを食べてるのを2年生が見つけ、厳しく指導した』」「10人以上に囲まれ、手を後ろにしろと言われ、何回も何十回も合計100発を超える集団暴行であった」などと投稿した。
複数の野球部員が集団で激しい暴行を行ったとする投稿や、「SNS拡散に向けて動き出した」と第三者への情報提供により、世間の耳目を集めるよう企てた投稿を行ったと主張している。
結果として、インスタグラムを含むSNS上で、複数の3年生部員の名前や顔写真がさらされることになり、加害生徒の名誉を傷つける内容の投稿があふれた。加害生徒側は、今後も名誉が損なわれ続けるおそれがあることから、告訴の決断に至ったという。
SNSで広がった誹謗(ひぼう)中傷から、高校野球史上、初めて大会途中で出場を辞退するという前代未聞の事態に陥った。一方で被害生徒は3月末で転校している。
同校では、第三者委員会や、外部の学識経験者らによる「学校改善検討委員会」などを設置して、再発防止へ向け動いている。

