<高校野球宮城大会:柴田6-3仙台三>◇30日◇準決勝◇Kスタ宮城
柴田が仙台三を下し、11年ぶりの決勝進出を決めた。右腕エース岩佐政也(3年)が10三振を奪い、3失点で完投した。岩佐ら中学時代の県選抜メンバー4人が、周囲を刺激してチーム力を高めてきた。「地元の公立から甲子園」を達成するまであと1勝となった。決勝は今日31日、Kスタ宮城で行われる。
8回に2点を返され、3点リードで迎えた9回。柴田の右腕エース岩佐が、ギアを上げた。「疲れはあったけど、最後は気持ちでいくしかない」。こん身の直球で連続三振を奪うと、最後の打者はフォークで空振り三振に仕留めた。右肘痛に苦しんでいた間、夏を見据えて習得した勝負球。雌伏の時を経て11年ぶりの決勝進出を決め、マウンド上で雄たけびをあげた。
中学時代は、軟式の宮城県選抜チームに名を連ねた。甲子園常連の私学からも誘われたが「地元の公立で私立を倒して甲子園に行きたい」と柴田に進んだ。「岩佐もくるし、みんなで集まってやった方が楽しい」と、鈴木勝也内野手(3年)ら選抜チームの仲間だった3人も同じ道を選んだ。平塚誠監督(40)は「彼らは入った時から野球への意識が高かった。周りの意識も引き揚げてくれた」と周囲への好影響を実感している。
今春の県大会では、仙台育英に1-2と肉薄。平塚監督は「3点4点取れる打線じゃないと勝てない」と打力強化に着手した。昨夏まで甲子園3季連続準優勝の八戸学院光星(当時は光星学院)。その原動力となった打撃の練習法を参考に、マシンではなく生きた球を至近距離で打つ練習を取り入れた。この日も鋭いスイングで14安打。5番を打つ鈴木は「明日は打って政也を助けたい」と意気込む。
震災で山元町の実家が全壊した岩佐は言う。「あいつらがいたからここまでこれた」。仙台育英には昨秋0-7、今春1-2と着実に差を詰めている。3回戦から4戦全て完投で疲れは当然あるが「ここまできたら気持ち。引かずに投げたい」。初の甲子園は、手の届くところにある。【今井恵太】