第96回全国高校野球選手権(甲子園、8月9日開幕)の各地区大会が、今週末から本格化する。日刊スポーツでは、一世を風靡(ふうび)した元プロのDNAを受け継ぐ主な球児たちをリストアップした。

 立教新座(埼玉)の吉村俊捕手(3年)は、巨人の主力で活躍した父禎章氏(51)と同じく、度重なるケガを克服。最後の夏に、初めて公式戦の舞台に立つ。

 不屈の精神は父をほうふつさせる。立教新座の吉村は幾多のけがを乗り越え、最後の夏に臨む。170センチ、71キロのサイズは、父禎章さんのPL学園3年時(179センチ、75キロ)と比較すると小柄だが、ガッツは負けていない。

 「誰よりも野球が好きなんです」。中学時代から腰痛に悩まされ高1の11月に椎間板ヘルニアの手術に踏み切った。父に相談をすると「つらいぞ。でも自分で決めたのなら、そうしなさい」と背中を押された。父が巨人時代、左膝靱帯(じんたい)を断裂し再起不能とも言われながら、カムバックしたことは聞いていた。だから弱音を吐かなかった。

 だが、吉村の不運はこれだけで終わらなかった。新チームで主将に就任し、キャッチボールをようやく再開した昨年8月。今度は右肘を痛めてコップすら持てなくなり、昨秋の県大会は背番号「10」で一塁コーチ。さらに今年3月30日の練習試合で左側頭部に死球を受け、1週間の入院、その後も通院を余儀なくされ、春も公式戦を欠場した。

 立教新座中時代から見守ってきた大野道夫監督(64)は吉村を「不動の9番」に置くことを決めた。打撃の負担を減らし、主将兼捕手でチームのまとめ役を期待する。吉村も「練習も試合もできず、チームで一番苦しんだ。でもその分、人として成長できたと思う」と自覚している。マスクも父親譲り?

 のイケメンは、これまでの思いを初の公式戦(11日、志木戦)にぶつける。【埼玉担当・浅見晶久】

 ◆吉村俊(よしむら・しゅん)1996年(平8)6月8日生まれ。東京・世田谷区出身。最初はサッカーが好きも、幼なじみに誘われて小1から野球を始め、主に三塁手と捕手。小学、中学、高校と主将を務める。好きなプロ野球選手は楽天嶋。170センチ、71キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。