<高校野球埼玉大会:山村国際2-1花咲徳栄>◇9日◇1回戦◇大宮公園

 創部6年目の山村国際(埼玉)が、開幕戦で甲子園夏2度出場を誇る強豪、花咲徳栄を破った。公式戦初先発の酒巻大輝投手(2年)が起用に応えた。カーブを効果的に使い7安打1失点完投。バットでも自ら逆転打を放ち、投打の主役となった。

 勝利の味は優勝と変わらなかった。甲子園出場経験があり、昨秋の県王者である花咲徳栄を下した山村国際ナインは、勝利の瞬間、完投した酒巻と捕手の堀内汰門(たもん=3年)を中心に歓喜の輪をつくった。指を天に突き上げる選手もいて、まるで優勝したような喜び方だった。

 就任3年目の大坂仁監督(41)は興奮を隠すように振り返った。「守りからリズムをつくり、うまくスタートできたのが勝因。自分たちの野球ができました」。花咲徳栄の初回、先頭打者に二塁打を打たれたが、そこを踏ん張った。リズムを作ったのは公式戦初先発の酒巻だ。背番号は3。120キロに満たない直球と緩いカーブ、スライダーを駆使して徳栄打線をかわした。徳栄の主軸は内角打ちがうまく、外側のボールで勝負する作戦が功を奏した。酒巻は「気持ちでいきました。とにかくうれしい」と満面の笑みを浮かべた。エースナンバーは3年生の菊地亮太がつけているが、大坂監督は「制球力が良いのと、動じない強心臓にかけようと思った」と先発起用を明かした。

 酒巻はバットでも貢献した。1点を取られた直後の4回、2死満塁から左フェンス直撃の逆転二塁打を放った。昨季、1年生ながら4番を任された実力をまざまざと見せつけた。「外を待っていたら甘い球がきた。すぐに野手の頭を越えると思いました」とまたまた笑顔だった。

 開幕直後の強豪校との対戦というモチベーションをうまく生かした。今月に入って東松山市の箭弓(やきゅう)稲荷神社に必勝祈願した成果もあった?

 創部6年目。夏は昨季の4回戦が最高成績だ。この夏の主役に躍り出た酒巻は「よい雰囲気のまま次に向かえます」と気持ちを切り替えた。強豪校と言われる学校も、戦ってみなければ分からない。それを注目のカードで山村国際が実証した。【浅見晶久】

 ◆山村国際

 1922年(大11)、裁縫手芸学校として創立された私立校。山村第二女子校を経て91年に国際女子高となり、99年に山村国際となる。生徒数は747人(うち女子は361人)。野球部は09年4月に創部で部員63人。所在地は坂戸市千代田1の2の23。山田良秋校長。