<高校野球新潟大会:関根学園7-6加茂>◇19日◇3回戦◇柏崎市佐藤池

 関根学園が4点リードされていた9回に5点を挙げ、加茂を逆転勝ちで下した。4回戦では、この日、加茂暁星相手に6-0で完封勝ちした三条と対戦する。

 力ない飛球が一塁手のグラブに収まると、関根学園のナインはマウンドに駆け寄り、背番号20の中島秀斗投手(3年)を祝福した。土壇場で4点差を逆転して迎えた9回裏。マウンドには公式戦登板経験がなく、選手交代の伝令役兼打撃投手で、今大会は内野手登録されていた中島がいた。

 9回表の攻撃で3人目の投手に代打を送っていた。「本当に投げるの?

 心臓バクバク、足はガクガク。いつもの打撃投手と同じに打たせようと、捕手目がけて無心に投げた。全然準備してなくて、直球がタレ気味だった」。数球肩をならしてマウンドに上がったが、制球が定まらない。先頭を遊ゴロに抑えるも、3四死球と犠打で2死満塁。それでも「ど真ん中に投げろと言われていた」と腕を目いっぱい振って、最後の打者を一邪飛に抑えた。

 苦しい戦いだった。雨が激しく降る悪条件の中、初回に5失点。集中力を切らさず必死の継投で、チャンスをうかがった。4点差で迎えた9回には、5安打と相手失策が絡み打者10人の猛攻で5点を奪い逆転。その裏、中島を緊急起用して冷や汗ものの逆転勝利だった。安川斉監督(53)は「中島は緊張でダメだろうなぁと思ったが、もういっちゃえと」と興奮冷めやらない様子で振り返った。

 結束力の勝利だ。1年時から公式戦に出場する選手を多数そろえながら、昨秋は日本文理に1回戦負けを喫した。市橋崇見(しゅうけん)主将(3年)は考えた。「個々の力はあるが、チームは勝てなかった。だから普段の結束力が問われると思った」。

 転機は今年2月。スタメン、控え選手を分け隔てることなく3年生18人と女子マネジャー2人全員でしゃぶしゃぶを食べ、きずなを深めた。中島だけでなく、9回に代打適時打を放った磯貝、最後の打球を処理した下鳥も公式戦初出場。それぞれ結果を出した。

 ベンチ入り20人のうち、17人が出場してもぎとった大逆転勝利。中島は「普段は裏方なんですけど、続けてきてよかった。出番あったら準備して、チーム一丸で勝ちたい」。4回戦も20人全員で戦う。【高橋洋平】