<高校野球福岡大会:北筑6-1東筑>◇27日◇準決勝◇北九州

 ノーシードの公立校、北筑が東筑を下し初の決勝に駒を進めた。盗塁に自信を持つ稲毛大和外野手(3年)が攻守に大活躍だ。4打数3安打3盗塁の3得点。守ってもファインプレーで貢献した。

 稲毛が独特の直感で北筑を決勝進出へ導いた。「感じで分かる。今日(27日)はいけそうな投手だった」と初回からエンジン全開だ。1回1死一塁、右前打で出塁し一、三塁の好機を演出すると、けん制を警戒しつつ「迷わず行きました」と2球目に二盗成功。2点先制の原動力になった。3、7回にも先頭打者で安打を放つと、初球ですかさず二盗し、クリーンナップの適時打で生還した。守備でも7回の先頭打者の中越え大飛球をフェンスにぶつかりながら捕球するファインプレー。攻守に躍動した。

 主将の吉田朗人捕手(3年)も「深く考えてないんじゃないですか」と話す「鋭い嗅覚」でかき回した。「足の回転が速いんで」と憧れるソフトバンク本多ばりの暴れぶりだった。4強のなかで今大会最多の16個だった盗塁数は、この日の稲毛の通算10個を足して19に。準々決勝のシード校、折尾愛真撃破に続き、準決勝は優勝候補の東福岡に勝って波に乗る東筑ものみ込んだ。自慢の機動力に加え、強豪の九州国際大付をも上回る4強中、最高打率の3割4分4厘のパンチ力がかみ合った。

 今日28日の決勝は二塁送球が1・88秒の強肩を誇るドラフト上位候補、清水優心捕手(3年)との戦いも見ものになる。キーマンになる稲毛は「清水君の肩が怖い」と謙遜しながらも、「すごいキャッチャーなので勝負したい」と挑戦状をたたきつけた。「ここまで来たら(甲子園に)行きたいです」(稲毛)。「走る稲妻」となって初Vを手にしてみせる。【菊川光一】

 ◆稲毛大和(いなげ・やまと)1996年(平8)8月10日、福岡県遠賀町生まれ。野球を始めた遠賀南中では三塁手。北筑では1年夏から外野手でレギュラー。50メートル6秒2。憧れの野球選手はソフトバンク本多。170センチ、64キロ。右投げ右打ち。