ピッチャーが完封勝利を収めるには、さまざまな条件が重ならないと容易ではない。たとえば、0-0のまま終盤を迎えると、代打を送られるケースもあるからだ。その点、阪神高橋遥人投手(30)の開幕からの5試合登板のうち、4試合が完封勝ちという現実には驚かされる。

今シーズン一番の投球だった中日高橋宏はパワーピッチャーだ。強い球で押しながら、最後は落とす。一方の阪神高橋はバランスの投手といえる。今の状態なら、どのチームも攻略するのは困難を極めるだろう。

まったく表情を変えることなく、派手なガッツポーズもしない。ひたすら黙々と、そして理にかなったフォームで、力をボールに乗り移らせる。私なりに表現すると「昭和のピッチャー」というイメージだ。

バンテリンドームのネット裏から見た投球は、ムダ球が少なかった。打者29人に対して計108球を投じたが、ボールが2球続いた場面は3人しかなかった。特に右打者のふところに飛び込んでいくストレートの制球にはミスがなく、常に打者を追い込んだ。

象徴的だったのは、4番細川との対戦だ。4回は内角に配しながら、5球続けてストレートでフルカウントになると、次の6球目はボール気味のシュートで空振りを奪った。また7回は2-2から今度は内角球で見逃し三振を取った。

球持ちが良く、指先にかかったボールを前で離す。打者が踏み込もうとすると内を攻め、逆にそこを意識させては外でかわす。度重なる故障から復帰した際、コンビネーションに生きる術を求めるのか、再び直球を磨くのか選択を迫られるだろうと思っていた。球速も150キロ前後で威力がよみがえった。(日刊スポーツ評論家)

中日対阪神 7回裏中日1死、高橋遥人は細川成也を三振に仕留める(撮影・加藤哉)
中日対阪神 7回裏中日1死、高橋遥人は細川成也を三振に仕留める(撮影・加藤哉)
中日対阪神 中日に勝利し高橋遥人(左)とタッチする阪神伏見寅威 (撮影・加藤哉)
中日対阪神 中日に勝利し高橋遥人(左)とタッチする阪神伏見寅威 (撮影・加藤哉)