<全国高校野球選手権:三重5-0日本文理>◇24日◇準決勝

 三重が、エース左腕今井重太朗投手(3年)の5安打完封で、初の決勝進出を決めた。日本文理(新潟)の強力打線を封じ、5-0で勝利。三重県勢としては55年の四日市以来、59年ぶりの決勝進出を果たした。

 エース今井が三重を頂点に連れて行く。1回戦から5戦すべてで先発の左腕が、今大会初完封で日本文理を封じた。序盤得点圏に走者は出したが、粘り強くピンチを切り抜け5安打無失点。疲れを見せない完璧な投球だった。中村好治監督(60)も「回復も早いし、気持ちも切れずに投げてくれた」とねぎらった。

 投げれば投げるほど調子が上がる。「持っている以上のものが出せている。予選(県大会)とはボールの勢いが全然違う。変化球のキレもだいぶ変わってきた」。普段の練習でも80~90球投げ込んだころから球が走り始め、気づいたときには150球投げ込んでいることもある。投げている時は疲れを感じない。

 連戦への備えも出来ていた。中村監督が就任してから投球フォームを変更。軸足に体重が乗るようになり、疲れにくくなった。普段は誰に言われずとも時間さえあれば走り込む。甲子園期間は毎晩10~15分走り、入浴後にストレッチ。入念に体のケアもしている。

 3きょうだいの一番上。正月に実家に帰ると、3人で野球やサッカーなど体を目いっぱい動かして遊ぶ。妹麗奈さん(16)はソフトボール部のキャプテン。「兄の試合を見たあとは自分の試合の力になる」と、力強い兄の姿が活力源だ。この日の試合前には麗奈さんから「今日は行けないけど、勝てば明日は行けるから頑張って」と激励メールをもらった。負けるわけにいかなかった。

 中学時は「豊田シニア」に所属。広島・堂林の後輩にあたる。堂林は09年中京大中京3年時に夏の甲子園でエースとしてチームを優勝に導いた。「自分の内容はどうでもいい。少しでもチームに貢献したい」。69年センバツで優勝している三重だが、夏は初の決勝進出。今井が春夏全国制覇に導き、「強豪三重」を復活させる。【磯綾乃】

 ◆三重県勢の夏決勝

 55年優勝の四日市以来、59年ぶり2度目。三重はセンバツで69年に優勝しており、史上28校目の春夏両大会Vを狙う。