<高校野球宮城大会:仙台育英1-0東北>◇25日◇決勝

 東北の春夏連続甲子園出場はならなかった。打線が4安打と沈黙し、宿敵の仙台育英に0-1で完封負け。117球で6安打7奪三振と力投したエース左腕、萩野裕輔投手(3年)は1点に泣いた。21度目の夏を狙った同校だが、通算出場回数もライバルに1つ追い越された。

 相手校歌を聞きながら萩野は、口元をグッと真一文字にした。スタンドへのあいさつを終えると、こらえてきたものが一気にあふれた。「一緒にやってきたみんなの顔を見たら…」と人目をはばからず泣いた。

 唯一の失投だった。4回2死から今大会2つ目の四球を与え、仙台育英の6番佐々木に三塁打を浴びた。「外のカットボール。ストライクを取りに行った。あの球がなければ…」と悔やんだ。

 打線もエースを援護できなかった。1週間前に、相手投手をビデオチェックしたが4安打。5回には1死一、三塁から9番佐野太地(2年)がセーフティーバントを試みたが功を奏さず(三ゴロ)。五十嵐征彦監督(32)は「(佐野が)思い切ってやった結果。しょうがない。萩野が粘り強く投げていたので早いうちに点を取りたかったが」と肩を落とした。

 萩野にすれば、悔しさをぶつけるはずの夏だった。今春センバツは初戦敗退。実は右臀部(でんぶ)の痛みを抱えながら投げ続けていた。ケガも癒え「打倒育英」を胸に迎えた今大会。だが過去2年敗れた相手に三たび聖地への道を絶たれた。「波瀾(はらん)万丈の3年間でした。最後に負けたけど、上の舞台で生きる。高校野球で終わりじゃないから」。6連投、492球を次のステージにつなげてみせる。【清水智彦】