<高校野球南神奈川大会:横浜8-2横浜創学館>◇26日◇決勝

 強豪横浜が春夏連続の甲子園出場を決めた。15安打に足も絡めて8得点、土屋健二投手(3年)が横浜創学館を2点に抑えて逃げ切った。南埼玉では森士(もり・おさむ)監督(44)率いる浦和学院が、長男大投手(だい=3年)の力投もあって3年連続の出場を決めた。両校は大会6日目(8月7日)の第3試合でいきなり対決する。

 泣き顔だけ見ればどちらが勝者か分からなかった。2年ぶり13度目の頂点に立った横浜の主将・小川健太右翼手(3年)、副主将・松本幸一郎二塁手(3年)らナインは顔をくしゃくしゃにして泣いていた。「人前で泣いたことは記憶にありません。力が抜けて」と小川。優勝という重圧から解き放された瞬間だった。

 「ノーヒットで点を取る野球」。初回から今夏の横浜の象徴的なシーンが飛び出す。二塁打と犠打でつくった好機に3番松本のスクイズで先制する。初回の先制は6試合で4試合目。「決勝はまず先制点。あれがなかったら分からなかった」。試合開始から8球で先制した確実な攻撃を渡辺元智監督(63)も評価した。3回には内野安打にヒットエンドランを絡め、4番小川の中犠飛で加点した。今大会チーム本塁打はゼロ。打てなければ転がす(犠打数23)、足でひとつでも先の塁を目指す(盗塁数20)。小技でリードを広げると打線が一気に噴火。先発全員の15安打で8点を奪った。投げても左腕・土屋が2点に抑えた。

 今春センバツでは北大津(滋賀)に初戦で敗れた。雪辱を果たすため例年より厳しい走り込み、長時間の打ち込みが続いた。大会前には他県への遠征試合も行った。試合前、渡辺監督が「野球を楽しんでこい」と初めて優しい言葉をかけてくれた。試合後には小倉清一郎部長(64)も「よくやった」とたたえた。苦しい練習に耐えたナインを指導者は見ていた。松本が小倉部長を胴上げの輪に誘った。「つらかったけど優勝ですべて報われました」。雪辱の場をつくってくれた小倉部長への感謝の気持ちからだった。

 初戦の相手は新チーム結成後、練習試合で2勝している浦和学院(南埼玉)だ。小川は「大好きな野球ができる感謝の気持ちは甲子園でちゃんとした姿、形で表します」。横浜はチーム一丸となって深紅の大優勝旗を神奈川の地に持ち帰るつもりだ。【横山元保】