球児の夏を悲劇が襲った。全国高校野球選手権大会・大分大会開会式に向かっていた柳ケ浦高(大分・宇佐市)の野球部員1、2年生46人の乗ったバスが11日午前8時30分ごろ、大分自動車道・日出(ひじ)ジャンクション付近で横転した。県警高速隊によると、吉川将聖さん(2年)が窓から投げ出されて死亡、5人が重傷、37人が軽傷を負った。13日に初戦の中津北戦があるが、出場するかどうかは12日のPTA役員会などを経て決定される。

 開会式に参加していた柳ケ浦ナインの表情が凍りついた。来賓あいさつで訃報(ふほう)を知った。河崎雄大主将(3年)は「あいさつで知りビックリしました。何で来ていないのかと思っていました」と沈痛な面持ちで話した。レギュラー組は別のバスで前を走っており、惨劇を知らないまま入場行進もしていた。ただ、スタンドにチームメートの姿が少なく、誰もがおかしいと感じていたという。

 県警高速隊によると、バスは大分市に向かうルートに合流するための左カーブで左側壁に接触後、さらに反動で反対の右側壁にぶつかり、車体左側を下にして横転した。当時は小雨が降っており、ぬれた路面でスリップしたとみられるという。亡くなった2年の吉川さんは窓から投げ出された2人のうちの1人で、約10メートル飛ばされた。首の骨を損傷するなどし、救命活動を受けることなく死亡が確認された。多くの部員はしゃがみ込み、ある部員は「あいつが死んだ」と取り乱した。

 自動車運転過失致死傷の疑いで、バスを運転していた同校教諭で野球部副部長の不破大樹容疑者(26)が現行犯逮捕された。昨年6月に大型免許を取得したばかりの不破容疑者にケガはなく「速度を出しすぎてハンドル操作を誤った」と供述しているという。現場の制限速度は40キロだった。

 柳ケ浦高によると、午前8時ごろ、2台のバスに分乗して大分市内の新大分球場へ出発。横転したバスには控え選手が乗っていた。バスは91年型の旧型で運転席以外にシートベルトがなかった。高速隊は大分運輸支局に照会するなどして安全面で違反がなかったかを調べる。

 高橋和治校長(65)は「吉川君と事故に遭われた生徒に、心からお悔やみとおわびを申し上げます。日々の練習もありながら副部長にバスの運転をさせているのは酷だった。専属の運転手を設けるなど改善を考えていた」と謝罪し、学校側の対応に問題があることを認めた。初戦は13日。野球部の保護者約50人を集めて開かれた説明会では「社会的に考えて見合わせた方がいい」という意見や「亡くなった吉川君のためにも出るべきだ」という声があったという。