<高校野球佐賀大会>◇16日◇2回戦

 名門・佐賀商のエース左腕が、6回0封にびっくり弾だ。佐賀大会は悪天候による3日連続の順延をへて16日に再開。夏の甲子園15回出場、94年全国Vの実績を誇る佐賀商が登場し、唐津青翔に9-1と8回コールド勝ちした。

 中心はエース左腕の太田直嗣投手(3年)だ。2回の最初の打席。軽く振り抜いた打球が、フェンスを超えた。「初回の投球が緊張で球が浮いてしまったので、リラックスして打席に立とうと。ホント、たまたまの本塁打です」。本人が誰よりびっくりの高校通算1号。この1発効果で、2回以降はストレートと大きく縦に割れるカーブで組み立てる本来の投球を披露。6回をわずか2安打無失点で、エースの役目をきっちり果たした。

 チームの合言葉は「てっぺんとるぞ!」。昨夏、佐賀商は決勝で伊万里農林に3-4と惜敗した。その前の準決勝・鹿島実戦で先発し、制球を乱して6回途中降板だった太田は、出番のないベンチでただ悔しさをかみしめていた。「絶対に優勝しなきゃいけない」。翌年の夏を制するために、その年の夏から徹底的に走り込み。戦い抜くスタミナをため込んだ。秀坂常紀監督(42)が「私の記憶の中でも(佐賀商史上)3本の指に入る」と自信を持つ軍団が、今年こそ全国の舞台へ進む。【実藤健一】