<高校野球福岡大会>◇21日◇準々決勝

 福岡大会は、飯塚が昨年の代表九州国際大付に7-0コールド勝ちし、4強が出そろった。

 互角の好勝負の予想を飯塚はあっさりと裏切った。8安打7得点で、九州国際大付の連覇の夢を打ち砕いた。「私がびっくりです。九国さんにコールドで負けたことはあっても、勝ったことは(7年前に)私が来てからはないですから」と吉田幸彦監督(54)も興奮した。2年ぶり2度目の甲子園へ大きく前進する1勝だけに当然だった。

 看板の「打力」が火を吹いた。4番にプロ注目の金子聖史捕手(3年)を置くが、持ち味は「つなぎ」。3回に2点、4回に5点。下位でチャンスを作り、上位につないで得点を重ねた。「みんな振れてます」と金子は言う。練習の9割が打撃練習で、1日1000スイングのノルマを課せられることもある。今大会1試合平均8・2得点に成果は現れている。

 柳川で73年夏の甲子園に出場し、作新学院の“怪物”江川卓と対戦した吉田監督は、打撃のチームを理想に掲げてきた。「私自身、相手を分析するとき打つチームが怖い。脅威を与えるんです」と吉田監督。「春先は全く打てずに悩んだ」というが、方針はぶれずにチームを作ってきた。あと2勝。甲子園は、打ち勝ってつかむ。【実藤健一】