<高校野球岩手大会>◇25日◇準決勝

 一関学院が盛岡一を7回コールドの9-2で下し、8年ぶり6度目の甲子園出場に王手をかけた。自慢の打線が初回から爆発した。盛岡大付との「強豪私立対決」となった決勝は26日、岩手県営野球場で行われる。

 堅守から強打へモデルチェンジした一関学院が、打ちまくった。1回表1死一、三塁から4番・榎本大輝中堅手(3年)の内野安打で先制。犠飛と左前適時打で続き、一気に3点を挙げた。3回には榎本が内角高めの直球を完ぺきにとらえる。高々と上がった打球は右翼スタンドに吸い込まれた。勢いは止まらない。6回は1死三塁から5連打で5点。バットを振れば振るほど得点が入った。沼田尚志監督(51)は「(盛岡)一高さんに勝つには打つしかないと思っていた」と会心の勝利だった。

 昨夏は初戦で花北青雲に2-4と敗れた。先輩たちの涙を教訓にするため、ナインは沼田監督に「時間をください」と直訴。新チームは話し合いからスタートした。数日間、意見の衝突を繰り返し、答えが出た。打撃で甲子園に行こう-。守備からチーム作りを始める沼田監督には戸惑いもあった。だが選手の目が真剣だった。「7割守備」から「7割打撃」の練習メニューに変更した。

 5月には全員1日500スイングを開始。手のひらの豆がつぶれても振り続けた。この日は12安打と結果を出した。榎本は「決勝も打ち勝つ」と意気込む。一振りに懸けてきた夏。8年ぶりの甲子園へ真価を問われる時が来た。【湯浅知彦】