<高校野球埼玉大会>◇27日◇準決勝

 「スマイル作戦」が成功し、ノーシードの本庄一に勝利の女神もほほえんだ。浦和学院を4-1で破り、2年ぶりの甲子園に王手をかけた。

 ナインが満面の笑みでベンチに戻ってきた。「ふにゃけて、笑顔いっぱいでやってこい。9イニング笑って、必死に元気に野球をやれば、結果はついてくるよ」と須長三郎監督(53)に送り出された。春の関東王者相手で県内の横綱を倒すための秘策。劣勢の序盤も笑い、これまで接戦のなかった相手に力ませるという狙いが当たった。今大会4試合目の先発を任された背番号8の田村和麻投手(3年)は3回に1点を先制されたが「打たれても良いと思って、楽に投げられた。負けてもともとだから」と動じなかった。打っては6回に内野安打を放って出塁、逆転のホームを踏んだ。1点リードの7回には左犠飛を決め、勝利を呼び込んだ。

 春は地区予選1回戦で敗れ県大会に出場出来なかった。田村は「びびって(打者)に向かっていけなかった。自分たちは弱いんだと思った」と、挑戦者の精神を学んだ。2試合連続の完投で疲労もたまっているが、「ここまで来れたのが奇跡。向かっていくだけです」と快投を誓った。28日、センバツ出場の花咲徳栄を倒しにいく。【保坂恭子】