<全国高校野球選手権:関東一10-6早実>◇17日◇3回戦

 関東一(東東京)は11安打に6盗塁を絡めて早実(西東京)との東京対決を制し、初出場した85年以来25年ぶりの8強入りを決めた。18日の準々決勝は成田対関東一の関東対決になった。

 エリート集団には負けない。東京対決前夜、関東一ナインは勝負のポイントを2点に絞った。早実・鈴木の決め球チェンジアップ狙いに加え、3盗塁を決めた2番渋沢麻衣弥(3年)は「クイックの動作がゆっくり。ビデオを見て走れると思った」。積極的な盗塁をテーマにした。

 3回、1番山下が鈴木のチェンジアップをとらえ、右翼ポール際に先制2ランを放った。続く渋沢が左前打で出塁し、二盗を決めると3番伊藤の中越え二塁打でホームにかえる。7回は3盗塁に4安打を絡めて4点。東西東京対決は今回が3度目で、東東京が3連勝となった。米沢監督は試合前、「向こうは中学日本代表がいっぱいいる。うちは1人もいない。負けたくない」と下町魂を燃やした。先発メンバー中、50メートル5秒台は3人。持って生まれた走力を、冬のクリスマス合宿で磨き上げる。千葉・大網海岸の砂浜を、午前9時から走り込む。最終日は青春ドラマのように海に飛び込み、達成感に浸った。この日は6盗塁が、4点に絡んだ。甲子園の黒土にまみれたユニホームが勲章だった。

 米沢監督の35度目の誕生日に勝利を贈った。選手は1人200円ずつ出し合い、全選手の背番号入りストラップをサプライズプレゼント。本間主将は「最高の恩返しができました」と喜んだ。試合後は早実ナインと抱き合い、甲子園の通路で別れる際は拍手で見送られた。敗者の思いも背負い、準々決勝は「東京代表」として成田に挑む。【前田祐輔】