頼もしいルーキーだ! ロッテのドラフト2位、藤岡裕大内野手(24=トヨタ自動車)が2戦連発となる決勝2号2ランを放った。同点の7回に高めの直球をたたき、右翼スタンド中段に突き刺した。値千金の本拠地初アーチでチームの連敗を2で止めた。このままの活躍を続ければ、新人王も見えてくる。

 振り負けなかった。7回2死二塁、藤岡裕は見逃せばボール球であろう、オリックス近藤の高めストレートに飛び付いた。「追い込まれてたんですけど、自然と(バットの)ヘッドが立った。今日はボールがよく見えた。打てそうな感じがしてました」。右翼席へ着弾した本拠地1号で同点の均衡を破った。

 2戦連続アーチだ。15日のソフトバンク戦(鹿児島)は左越えソロ。強風にも助けられたが、これで暗闇に光が差した。前週は打撃不振の真っただ中。12日の西武戦は途中でベンチに下げられた。投手内野安打を除けば5試合ぶりの快音が初アーチだった。「ずっと打てなくて何とかしたくて。ほっとして歓声も聞こえなかった」。一転して今度は、ホームの「藤岡コール」にしっかり頭を下げた。

 悩み、心労も疲労もある。入団時に掲げた「開幕スタメン」をクリアしてから、体重はあっという間に2キロ減った。「社会人時代みたいに試合の間隔があかない。移動も大変です」。フルイニング出場は途絶えた。すぐに照準を切り替えた。「もちろん全試合出たい。そのために結果を残して、スタートから使っていただけるように」。辛抱強く起用する井口監督の采配にここぞで応えた。

 この日は試合前、千葉市立真砂東小を訪問。小学1年生へのランドセルカバー贈呈式に出席した。入場時に男児から飛んだ声援は、まさかの「たかひろさーん!」。同姓の藤岡貴に間違えられた。「まだまだですね。もっと活躍して自分を知ってもらえるように頑張りたい」と苦笑いした日の夜、ヒーローになった。「自分の一振りで勝てたことがうれしい。子どもたち、見ててくれたらいいな」。わずか10時間後の、かっこよすぎる有言実行だった。【鎌田良美】