日本ハムが、平成最後の甲子園スターにロックオンした。23日、都内ホテルでスカウト会議を行い、第100回全国高校野球選手権記念大会で準優勝した金足農(秋田)のエース吉田輝星投手(3年)を、最高ランクである今秋ドラフト1位候補に格上げした。聖地での活躍を受け、大阪桐蔭の根尾昂内野手、藤原恭大外野手(ともに3年)らと並ぶ評価に急上昇。本人の希望進路を含め、球団は今後の動向も注視していく構えだ。

  ◇  ◇  ◇

日本ハムも、日本中を沸かせた秋田の怪腕にほれ込んだ。栗山監督も出席したスカウト会議を終え、報道陣に対応した大渕スカウト部長は吉田についての評価を問われて一瞬、間を取った。「一番、注目されている場面ですね」と笑いを誘った後、真剣な表情に変わった。「担当(スカウト)も非常に高い評価をしています。球団としても、僕個人も、非常に能力が高い選手だなと思います」。球団の総意として、ドラフト1位クラスの特A評価へ格上げした。

リストアップはされていた。担当の白井スカウトが足しげく金足農へ通い、吉田の視察を繰り返してきた。同スカウトも「以前は全て全力で投げていたが、今回の甲子園ではピンチでギアを上げるなど、投手としてのレベルも上がった」と評価。さらに「顔がいい。あれだけ注目されるのも、よく分かる」と闘志を前面に出す姿にも言及した。

北海道移転後の日本ハムは、人気と実力を兼ね備えた逸材を敢然と1位指名してきた歴史がある。04年ダルビッシュ、07年中田、10年斎藤、12年大谷、17年清宮。競合が予想されても「今年のNO・1選手を指名」という方針を曲げたことがない。高校野球ファンだけでなく、社会現象クラスの注目を集めた吉田も同じ系譜にいる。花巻東から“直メジャー”を目指していた大谷に対し、栗山監督の直接出馬など熱意と誠意で入団に導いた実績もある。

「巨人が好きです」「行きたいです」と、初々しく将来の夢を明かした吉田。現時点で、プロ志望届を提出するかなどの進路を表明していない。大谷が入団した当時も交渉役だった大渕スカウト部長は「プロという決断をするなら、我々は現在、高い評価をしている」とハッキリ言った。本人が結論を出すまで、マークを続けながら待つ。【木下大輔】