社会人野球公式戦が11日の東京大会(神宮ほか)を皮切りに開幕する。富士大(岩手)で北東北大学リーグ10連覇を達成した東京ガス(東京)楠研次郎外野手(22=福島・楢葉町出身)は、1年目から定位置獲得に挑む。6日、都内で行われた東芝(神奈川)との練習試合でも「3番右翼」で先発出場した。

大学1年春から主力を担い、昨秋のMVPに加え、ベストナインを7度獲得した。首位打者2度を含み、8季すべて打率3割超え。「自分自身を評価していただいた打撃は貢献できる部分。東京大会から結果を出すのはもちろんですが、先につながるプレーをしたい」。同リーグ史上2位の102安打を放った俊足巧打で勝利を導く。

すでに準社員として社業と野球を両立。正社員となる来月1日からは「お客様コールセンターサービス」で、電話応対作業を行う予定だ。大学同期でプロ入りした西武ドラフト7位の佐藤龍世内野手(22)や、楽天8位の鈴木翔天投手(22)の活躍も刺激の1つ。「自分もやるからには2年後にプロで即戦力として使ってもらえる選手になりたい」。守備や走塁も極めた3拍子そろった“プロ仕様”への成長を誓った。山口太輔監督(41)も「打撃は苦手なコースもなく、対応力がすごい。すでに主軸として考えています」と大きな期待を寄せた。

8年前は東日本大震災による福島第1原発事故の影響を受け、故郷を離れる悲しさも味わった。東海理化(愛知)と対戦する「3・11」社会人デビューを、新たな歴史の1日を刻むつもりだ。【鎌田直秀】